はじめに…

僕たち・私たちは、身体が弱かったり、成長がのんびりしていたり、いろんなことを感じとる繊細さを持っていたり…、そんな「個性」を持って生まれてきました。

遠回りをすることもありますが、いろんな経験を重ね、お友達や先生方からヒントをもらい、時には、一息ついて休んだり、励ましあいながら、一日一日、成長しています。

みなさん、どうぞ温かく見守ってください。

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22q11.2欠失症候群とは?

22q11.2欠失症候群

私たち人間の細胞には、遺伝子が含まれる46本の染色体がつまっています。2本で1組になっていて、23対あります。そのうちの22番目の染色体の長腕(q)の11.2という部分に微細欠失があるのが22q11.2欠失症候群です。

人間には約2万2000種類の遺伝子があるのですが、この症候群で欠けている部分には、確認されているだけでも30〜45種類の遺伝子があると言われています。私たちは両親から1本ずつ対になる染色体を受け継ぎますので、22q11.2欠失症候の人は、そのうち1本が欠けているため、30〜45の遺伝子については、本来2個あるところが1個になっていることになります。

原因について

最近の研究では、22q11.2という部分は特殊な配列があるために、他の染色体の部分よりもよりも欠失しやすいということがわかってきました。両親どちらかが悪いとか、妊娠中のできごとなどとは関係がなく、生物である以上、生まれる時に一定の確率で偶然に起きてしまう欠失とされています。ただし、両親のどちらかが22q11.2欠失症候群であった場合の子どもは、50%の可能性で欠失が起きるといわれています。

先天的な染色体異常のなかでは、比較的頻度の高い症候群で、海外の調査では頻度は3000〜6000人に1人とも、2000人に1人ともされています。身体的な合併症がなく、診断されずに成人になっている人も多いと言われています。

名称について

この症候群の人は、ほぼ同じ部分が欠失しているにもかかわらず、症状には個人差があります。なぜ症状に個人差があるのかは、残った1個の遺伝子の働きなのか、欠失していない部分が補っているのか、欠失の仕方が微妙に違うからなのか、はっきりしたことはよくわかっていません。

歴史的には、その症状から、ディジョージ症候群(DGS)、口蓋帆・心臓・顔症候群(VCFS)、円錐動脈幹異常顔貌症候群(CTAF)など複数の名称で報告されてきましたが、これらの症候群のほとんどに22q11.2部分の欠失があることがわかりました。「CATCH(キャッチ)22」と呼ばれたこともありましたが、現在では22q11.2欠失症候群と呼ばれるようになってきました。

診断について

1991年に、FISH法という新しい染色体解析技術が確立され、血液検査で、欠失部位の有無を診断できるようになりました。

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特徴的な症状

ほぼ同じ部分が欠失しているにもかかわらず、症状には個人差があります。

約180の合併症が起こり得るとされていますが、すべての症状が1人の人に起きるわけではありません。比較的、頻度の高い症状・特徴には以下のものがあります。

先天性心疾患

遺伝性疾患の症状や診断・遺伝学的検査(遺伝子検査など)・遺伝カウンセリングなどについて、専門家による解説が参照できる医療スタッフ向けの米国の遺伝性疾患情報サイトGene Reviews(川目裕先生が監修された日本語訳が掲載されています。詳しくは当サイトTOPページ関連ニュースをご覧下さい。)によると、22q11.2欠失症候群の74%に先天性心疾患があるという報告があります。頻度の多いものは、

  • ファロー四徴症(極型含む)
  • 大動脈離断症
  • 心室中隔欠損症
  • 大動脈弓の異常
  • 動脈の走行異常(主要大動脈肺動脈側副血行路:MAPCA)、血管輪など

です。ただし、心疾患のない人は診断されていない可能性もあり、実際の頻度はもう少し低い可能性もあります。

先輩より一言

顔貌

小さな口、小さな顎、小さな眼裂、やや離れた眼、鼻根部の扁平化、特有の鼻の形、耳介の下方付着、弓状で細い眉などの特徴があり、専門医であれば顔貌から推定することができます。ただし、顔貌にも個人差があり、これらの特徴のない人もいます。成長に従って個人差は大きくなる傾向があります。

口蓋裂・鼻咽腔閉鎖不全

Gene Reviewsによると、69%に口蓋関係の異常があるという報告があります。

  • 口蓋裂(口の中の天井部分が割れている)
  • 軟口蓋裂(喉に近い奥の部分が割れている)
  • 粘膜下口蓋裂(外見上は異常がなく、軟口蓋の下にある筋肉の部分だけが割れている)
  • 鼻咽腔閉鎖不全(鼻咽腔が閉鎖されない場合、吸うこと、吹くこと、哺乳、嚥下等の動作が充分に出来ない)

などのほか、口唇裂がある場合もあります。明らかな口蓋裂の場合は、生後の早い段階で診断がつきやすいのですが、粘膜下口蓋裂、鼻咽腔閉鎖不全などの場合は、幼児期以降に気づくこともあります。鼻声がみられる場合には耳鼻科で粘膜下口蓋裂の有無を診断してもらう必要があります。幼児期以降では発語障害(「カ行」「サ行」の発音が不自由)がみられることもあります。口腔外科、形成外科などでの手術の他、継続して言語治療が必要なことが多いです。

先輩より一言

免疫不全

胸腺の低形成や欠損を伴うことがあります。

胸腺は、からだの免疫力に関与している白血球のリンパ球の分化を制御する働きがあります。先天的に胸腺の欠損や低形成を伴うと細菌やウィルスの感染に際し抵抗力が弱まる場合があります。

生ワクチン(ポリオ・BCG・はしか・風疹)の予防接種は危険な場合があります。これは胸腺の有無より、T細胞の量や働きにより左右されるようです。先天性心疾患がある場合、予防接種なしでかかると重症化する場合がありますので、主治医とよく相談する必要があります。

低カルシウム血症

先天的な副甲状腺の欠損や低形成によって副甲状腺ホルモンが不足し、体内へのカルシウムの吸収が悪くなる結果、血液中のカルシウム濃度が低くなって痙攣を起こす原因になります。ディジョージ症候群に多くみられる症状ですが、22q11.2欠失症候群全体では比較的まれな合併症です。

その他

腎臓や泌尿器系の合併や、摂食障害、難聴、口蓋裂の影響による中耳炎などの症状もあります。

最後に

様々な症状を合併する可能性があり、成長過程で発現するリスクの高い症状もあります。受診する診療科が複数に及ぶことから、成長に応じた心配を総合的に相談できる遺伝科等の主治医を軸に、各診療科との連携をとっていただける体制をつくることが望ましいと思います。

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発達

乳児期の発達

多くの赤ちゃんは、おすわりやはいはいなどができるのがゆっくりです。GeneReviewsによると、歩き始めの平均が18ヶ月とされています。言葉の発達にも遅れがあり、2〜3歳では意味のある言葉が出ないことも多いとされています。

乳児期の発達の遅れは、筋緊張の低下のほか、先天性の心疾患や頻回の手術、長引く入退院などの影響も関係すると言われています。ただし、乳児期の発達の遅れは、その後キャッチアップされていくことがほとんどで、実際、当会の会員さんでもそのような方がたくさんいます。

海外の研究では、幼児期以降の知的発達と心疾患の間には相関性がないという論文が出ています。

乳児期には、食が細くて悩むお母さんも多いと思いますが、成長後にはよく食べるようになる子どもが多いです。口や喉の周囲の筋肉の発達が遅く、食べものを噛んだり飲み込んだりする一連の動作の習得に時間がかかるのが原因という説もあります。

身長

海外の文献によると、22q11.2欠失症候群の子どもは、定型児よりも身長の伸びが遅いものの、成長に伴って追いつくことが多いとされています。Gene Reviewsによると、22q11.2欠失症候群のほとんどの成人は、正常の範囲の身長とされています。ただし、1歳から15歳の95人の子どもの調査では、41%は身長が5パーセンタイルを下回り、うち4人は明らかに5パーセンタイルを下回っているとしています。海外のこの症候群による専門家・家族によるVCFS教育財団によると、この症候群のうち一部は低身長のために成長ホルモンによる治療が必要な場合がありますが、そういう人はごく一部だとしています。

知能

言語面や言語での記憶が得意で、視空間認識や抽象概念の思考などは苦手で、算数・数学は他の教科より苦手という報告もあります。

海外の文献では、知能検査の結果は定型児より低めに出る傾向があります。海外の知能検査の結果はほぼ同様の傾向を示し、例えばある長期的な4歳から16歳の子どもの研究では、知能検査の平均は73で、結果は50から109までのばらつきがあったという報告があります。ただし、私たちの経験では、知能検査の結果は必ずしも実生活の生きやすさとは関連しません。認知のずれのために、何らかの生きづらさを抱えることも多いです。多動注意欠陥(ADHD)の診断を受けたり、聴覚過敏、触覚過敏などの症状が出たりすることもあります。性格は子どもによって個人差が大きいのですが、内気で引きこもりがちな子も少なくなく、社会生活に影響を与えることもあります。子どもをどのような環境で育てていけば、一番生き生きと育つのか各自が模索しているのが現状です。

神経・精神

精神科的な疾患を、学童、成人になって発症することがあり、思春期の不安定な時期には健常者よりメンタルの問題を抱えるリスクが高いとされています。海外では思春期以降に統合失調症や双極性障害の発症のリスクが一般人より高くなるという報告がありますが、その頻度ははっきりわかっていません。

そのような時期に親御さんは不安を感じたら早めに心理、精神の専門家に相談したり、治療を受け早期にサポートを受けることで本人の生きづらさを軽減していくことが大切です。また学校や職場など周囲に理解をしていただくように応援することも大切です。

成長後

22q11.2欠失症候群の診断が広く行われるようになって日が浅いこともあり、当会には成人の会員が少ないのが現状です。海外では、ある程度社会的に自立した生活を送り、当事者の立場から社会に発言している成人もいます。後輩にアドバイスをしてくださる成人の方のご入会、お待ちしています。また、この症候群は個人差の大きい疾患ですが、どの人も1人1人がかけがえのない存在として、幸福感に支えられた人生を送れるよう、お互いに支援していけたらと願っています。

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参考

  • 22q11.2欠失症候群ガイドブック
  • Educating Children With Velo-Cardio-Facial Syndrome(洋書)
  • Gene Reviews Japan
  • キャッチ22について 全国心臓病の子どもを守る会発行「心臓をまもる」医療講座
  • 心臓病児者の幸せのために~病気と制度の解説~ 全国心臓病の子どもを守る会編
  • お母さんシリーズ④ こどもの心臓病 門間和夫著
  • 遺伝子の地図帳 田辺功著
  • 染色体起因障害シリーズ「22q11.2」 FLC会報16号
  • 口唇・口蓋裂児者の幸せのために 口唇・口蓋裂友の会編

他多数の「22q11.2欠失症候群」学術論文

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目次│22q11.2?

22q11.2欠失症候群とは?

特徴的な症状

発達

参考

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